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この何年かで「古着」というジャンルが大きなムーブメントになりました。

サスティナブルという価値観の広がりやファッションビルに並ぶ服の均質化、人と被らないものを比較的安価に購入できる手段として、

または二次流通市場の発達や仕事における服装を規定する企業が減ったこともあるでしょう。

 

いまや服を探す際のファーストチョイスが古着、という方も珍しくないのではないでしょうか。

 

「古着のデザインを読み解き、その服が作られた歴史的な背景やディテールからその特徴を見立て、新たな服として世に提案する」というやりかたで古着のデザインと向き合ってきたItheにとって、こういった古着が再評価されていくというのはそれらのデザインの価値が認められたということでもあるので、古着の値段が上がっていくというのは喜ばしいことです。

(ただ、最近の値上がり方には恐ろしさも感じますが…)

 

歴史は絶え間なく進んでいくもので、古着は人が服を着る限りその時々の社会背景を映しながら永遠に生まれ続けていきます。

流行には周期があるとも言われますが、過去の流行がそのまま廻ってくるわけではなくきちんとその時々の時代を反映しながら廻っていくもの。

例えば、2019年に制作したトラックパンツ(ジャージパンツ)や2021年のサッカーのゲームシャツ。

当時の技術の発達から生まれた典型的な量産品であるスポーツウェアはもともと安価な製品ということもあり古着としても価値がほとんど認められていませんでした。

 

 

そんな中で、Itheはそれを例えばスラックスとして見立て、プルオーバーのカットソーとして見立てることでそのデザインに新たな価値を見出し、現代の衣服として提案しました。

きっとこれらがいつの日か、数年後、数十年後にまた古着として市場に出回り、それを見た人がまたその時代に合った姿に生まれ変わらせる…。

Itheは、そのサイクルの先頭を走るレーベルであり続けることに価値を置いています。

 

”価値がない”とされているものを愛でることは未来の価値を生み出すこと。

 

子どもの頃に着ていたもの、いわゆる”おじさん”が着ているイメージのあるもの。

それらの服のデザインには決して価値がない訳ではなく、今の時代にそぐわないだけなのです。

そして、それを格好良くするのがItheの役目。

今シーズン制作したベンチコートやドリズラージャケットも、ぜひご覧になってくださいね。