「良いデザインとは?」という問いに対する答え。
「良いデザインとはなんだろう?」という問いは、衣服をはじめとして、
全てのかたちを生み出すことを仕事にしている人たちが長い時間をかけてその答えを考えてきました。
たくさん売れれば良いデザインなのか、人目に止まれば良いデザインなのか、
使いやすければ良いデザインなのか、コストカットできれば良いデザインなのか。
それぞれの立場によって、それらは正解にもなりますし、不正解にもなります。
だからこそ、かたちを生み出す人たちはそれぞれに「良いデザインとは?」に対する答えを胸の内に秘めておかなければいけません。
その問いに対する答えは、Itheというレーベルをスタートする時に決まり、
それからいくつもの製品の完成を見るたび、「やっぱりその答えは正しかった」と自信を深めてきました。
良いデザインとは、デザインされていないデザインである。
そのヒントは、歴史を乗り越えて今も残る「定番」と呼ばれるものや、実用性だけにこだわって作られたワークウェア、ミリタリーウェア、アウトドアウェアにあります。
土地や国の気候や社会条件、用途にあわせて忠実に素直につくられたかたちには、健康的で平穏な美しさがある。
そこには、「デザインは施されるものではなく、それらの要素に沿って必然的にかたちづくられるものである。」という考えが根底にあります。
どうしてそのヒントがワークウェア、ミリタリーウェア、アウトドアウェアにあるのかというと、特に仕事や戦争、登山などの場面では、その製品の使い勝手次第で直接使用者の命に関わってしまうこともありえます。
そのため、そうした用途を考えて作られる製品は、無駄なものは一切省いて、機能的にぎりぎりのかたちにまで追求されることになる。
そこには表層的なデザインが介入する余地は一切なく、それゆえに出来上がったものからは厳然とした潔さを感じられます。
「人間の命を守ること」から出発したデザインには、有無を言わせぬ力強さがあるものです。
(左上から時計回りに、80年代オランダ軍のキルティングジャケット、90年代フランス軍のF2パーカーライナー、60年代アメリカ海軍トレンチコート、00年代アメリカ軍サーマルTシャツ。ItheではNo.09~12)
そういった表層的で広告的なデザインのない、アノニマスなデザインに私たちは魅せられて、「デザインをしないこと」をコンセプトにItheをはじめました。
そして、これまでに生まれてきたかたちやディテールを受け継ぎ、現代に再現すること。
これからも生まれていくであろう未来の定番のために、歴史を更新していくこと。
Itheは、そういう目的をもって製品を作っています。