セレクトとトレース
デザインをしないでデザインをする。ある意味自分の職業を全否定することから始まったような気がします。今のItheの考え方は「デザイン=新しい形をつくる」ではなく「収集、トレース、編集=デザイン」そんなふうに考えています。
デザインしないということは元ネタとなる衣服を決め、読み解くことから始めます。
その衣服が製造された年代、背景、流行、パターン、縫製、生地、付属、サイズなど様々な要素を読み解き、丁寧に一つずつ解釈する必要があります。
この仕様は今の時代に必要なのか?それとも、一見無駄だがあることによってこの服の本質が伝わるか?などいろいろな角度から考えます。
もちろんこの服は実際に販売するのですから、それらの仕様が増えれば増えるほどパターン、縫製に手間がかかり、販売価格に反映されてしまいます。それでは、コンセプトの「Daily」「Practical」の部分に反してしまいます。
アメリカ軍M-65パンツ 70年代モデル ↓
Ithe 03-M65 Pants ↓
内ポケット、ボタン、タグ、ステッチ、仕様はすべて再現しています。一点省いたものがサンプルにはライナーを取り付ける時に必要なボタンと、コードがあります。
それらは今回外しています。ライナーは今回のパンツには不要という点と、付属量が増えることによって販売価格が上がるのを良しとしないためです。
上 M-65
下 Ithe 03
洗い上がりをイメージして各パーツのサイズを決めています。少し、縮小したり、よれたりすることがあると考えます。
上記の写真の様に、全てのパーツや仕様には一つずつ理由があります。
元のサンプルの良い所、特長は最大限再現する。しかし、今の時代に沿った必要な部分をItheの提案として入れる。
これがItheの「デザインしないデザイン」の考え方の一つです。
次回は、違う角度からデザインしないデザインってのも書いていければと思います。
ではまた。